ばかの輝き

このセリフを、日に何度口にするかわからない。
「ホントにかわいいねぇ、ウチの子は」
親ばか街道まっしぐら。
まさかまさか、自分がこんなふうになるとは……。

なぜ、かわいいと思えるのか。
それは、きっとばかだからだ。
ばかというとかわいそうだけど、赤ん坊はまだ自分のことも世界のことも、何も知らない。
人としてすっぽんぽんの状態。
すっぽんぽんなので、見ているこちらもつい心のヒモが緩んでしまう。
ちょっとでも笑顔を見せようものなら、田中邦衛さんに負けないほどに目尻が下がってしまう。
ぐにょ〜ん、と。
学生時代にも、みんなから「ばか」と言われる人がいたが、そんな人ほどみんなから愛されていた。
ばかは太陽。どちらかというと月の私は、とてもうらやましかった。


あと、人間は後退していきている。
赤ん坊のときが一番進化していて、成長とともに体毛が増えて、猿に退化していく。
だから赤ん坊はまぶしい。
そういう仕組みになっている、赤ん坊が愛されるのは。
たぶん。


録画してあった、よしもとばななさんがゲストのNHKトップランナー』を観る。
彼女も、出産するまで「子供がかわいい」と思ったことはなかったそうで、今ではよその子供を見てもかわいいと思うようになったとのこと。


経験できることは、経験した方がいいことだ。