木皿泉の謎

また慣れない脚本依頼というものを受け、頭を悩ます日々。
いつも雑誌などでやっている、取材して文章をまとめるという作業は、「1」を「2」にするような作業。
確実に「1」という“素材”があるから、なんとか「2」として完成させられる。
でも、これは素材なし、空想オンリーの、「0」から「1」を生む作業。
数学的には、「0」に何をかけても割っても「0」。
考えても考えても「0」のまま〆切を迎えることもあるわけで、
“これって、思いつかなかったらどうなるわけ?”と激しく不安と戦いながらの作業。
これを仕事にしている人は、どういう神経をしている?


そんな状態で、ドラマ『野ブタ。をプロデュース』を観る。
この脚本家はやっぱりすごいんじゃないか? と改めて感心。
クサくなりすぎず素敵なセリフがあって、浅くなく、かといって重くもなく、でもセイシュン感がある。
すごく微妙なバランス感覚……。
気になって調べてみたら、脚本の木皿泉さんという人は、ふたり組の脚本家らしい。
ふたりだからゆえの客観性が、絶妙なバランス感覚を生んでいるよう。
しかも神戸在住で、50歳近いの男女、とのこと。
うーん、木皿泉、いろんな意味ですごい。
久しぶりに、人物ハマリしかかってます。